遺言って実はたくさん種類があるんです。どんな人が作る?相続開始後の手続き費用に差はでる?

もう何度か遺言については書いておりますが、今日はいわゆる「遺言の種類」についてお話したいと思います。

【簡単におさらい】
なんとなく知っている方も多いと思いますが、「遺言」とは自分の死後、相続分の指定や遺贈その他(認知・廃除など)の権利変動を目的とした行為のことです。
※ちなみに「遺書」は、残された方々へ、気持ちを伝えるためのお手紙です。

【遺言の種類は?】
まず、遺言には大きく分けて「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の二つがあげられると思います。
この2つのメリット・デメリットに関してはこちらを参考にしてください。
→「簡易迅速!公正証書遺言を使った相続登記のメリットはこれ。
→「自筆証書遺言の落とし穴?よくある不備をまとめてみました。
→「やはり遺言書は作るべき?遺言書は本当に相続の対策になるのか?

その他種類にはこんものがあります。(説明書きは参考程度に)
秘密証書遺言(内容を誰にも見せずにおきたい、そんなアナタに)
一般危急時遺言(今にもお亡くなりになりそうな方にオススメ)
船舶遭難者遺言(大海原で遭難してしまった時にはこれ一択)
伝染病隔離者遺言(伝染病にり患して隔離されてしまったら)
在船者遺言(船にのったら一回はやってみたい 遭難しなくても作れます)

秘密証書遺言はそうでもないですが、他はかなりのレア遺言です(笑)

【どんな人が遺言書を作成しているのか】
具体的にはこんな方が書いていることが多いと思います。

 特定の財産を特定の人物にあげたい方(自宅を次男にあげたい)(土地を親友の〇〇にあげたい)
 相続人が多く、相続財産分配でもめそう・難航しそうな方(相続人どうしが疎遠・不仲、一部の相続人が行方不明など)

①も②も自分の好きなように自己の財産の行先を決められるイメージです。
特に②に該当するような方は絶対に遺言書(特に公正証書遺言)がオススメです。

あとはこんな人も
 家族には黙っていたが認知していない子供がいる方
 自分をイジメた家族を相続から追放したい方

③と④はあまりお見かけしませんが、無くはない話です💦

最後に
 恥ずかしくて言えずにいたけど、家族への愛・感謝・思いの丈を包み隠さず伝えたい方

なんとも素敵ですよね。
ちなみに⑤だけが目的であれば、遺言ではなくてお手紙で済むので費用をかけて遺言書にする必要はないと思います。

【作る遺言によって、その後の手続きのお金は変わるのか?】
こちらに関しては完全に私見となりますが、正直変わってくるものもあると思います。

たとえば、一つ前の標題の②を例にとってみましょう
遺言書を作成していない場合における、大人数の相続登記(兄弟姉妹その他の相続人20~30人ほどを想定 遺産分割協議あり)を司法書士がする場合、戸籍を集めるだけでも実費で数万円、その取得手数料+その他書類の作成報酬等でかなりの費用がかかってしまうだろう事が予想されます。また、とにかく時間がかかり、最終的に話がまとまる保証もありません。
※トータルで数十万~(?)登録免許税は考慮せず

ですが、公正証書遺言の場合だと、同じ条件でも実費・報酬手数料で大きな差がでます。
例:必要な戸籍は遺言者の戸籍+遺産もらう相続人の戸籍のみで その実費は1000円+αぐらい?となりますし、そもそも相続人の人数に、手間・時間・金額がさほど左右されません。(状況にもよりますが)トータル金額の面でも遺言書を作成していない場合と異なり、かなり圧縮が期待できるはずです。しかも、簡易迅速です。

それでは同じ状況で自筆証書遺言の場合はどうでしょうか?
残念ながら自筆証書遺言の場合は遺言書を作成していない場合と同様に戸籍が大量に必要ですし、検認という手続きもありますので、公正証書遺言の場合にくらべて費用はかかってしまうことになります。※それでも遺言書を作成していない場合よりは、費用の圧縮はできると思います。

・・・レア遺言の場合は・・・正直分かりません💦
やったことある方、士業の方、いらっしゃいましたら教えてください(笑)

さて、いかがだったでしょうか。

最終的に総括いたしますと、やはり遺言書は作っておいたほうがスムーズに相続手続きが進むイメージです。
ですが、全てにおいて作成が正解というわけではありません。
場合によっては、作成しなくてもいいのではないかと判断できる時だってたくさんあります。(例:相続人が子供一人しかいない、家族仲が良いなど)

ですので、もし、遺言書を作った方がいいのかどうか迷ったら、お近くの専門家に相談してみてください。

作った方がいいという判断も、作らなくてもいいだろうという判断も、どちらも価値のあるものだと思います。

今日はこんなところで。

参考→遺言書関連のブログのまとめはこちらから