役員の任期は何年が一番いいのでしょうか?オススメの期間とは?
今日は会社役員の任期についてのお話です。
会社(本日は非公開株式会社のみを題材とします)には必ず一人以上役員さんがいるものです。
皆さんも聞いたことがあると思いますが、「取締役」という役職の方もいわゆる会社の役員です。
(取締役が一人のみ、又は複数人いる取締役を代表する人を「代表取締役」と言います。取締役の他にも「監査役」「会計参与」「会計監査人」などいろいろな役職があります)
そして、この役員には会社法及び自社の定款に従い、「任期」というものが定められています。
※定款とはその会社のルールブックみたいなもの。役員の任期はこの定款で定め、会社はこの定款の定めに従い営業をします。
取締役の任期は最大10年まで伸長することができますが、はたして長ければ長いほど良いのでしょうか?
今日は短い任期と長い任期のメリット・デメリットを考察していきたいと思います。
【任期が来ると何をしなければいけないの?】
先ほども書いたとおり、取締役には任期があり、選任された後その期間内で取締役として活動することになります。
逆に言えば、任期が過ぎてしまうと例外を除き、基本的にはお役御免(任期満了退任)となります。
しかし、優秀な人材は続投してほしいと思うのが通常です。
(取締役=代表取締役=株主であるいわゆる一人会社は半強制的に続投となります)
そうなると、行うべきは「再選」です。
取締役は株主総会で選任されますので、任期が満了する株主総会で同じ人を再選するわけです。
そして、再選(+就任承諾)をしたら、その旨を登記することになります。
※そのまま任期満了退任となり再選とはならないこともあります。その場合は新たに取締役を選んだりすることになります。
そう
取締役の任期が来たら、
①そのまま退任するか続投するかを決定(例:株主総会の開催)
②その決定を登記に反映させる(登記申請)
をすることになります。
【任期は10年が人気】
任期がくると上記の①と②をするわけですが、そこで問題となるのが②の登記です。
基本的に登記は本人(会社代表者)が申請するものですが、多くの場合、司法書士等の専門家に依頼をすることになると思います。
そして、一番気になるのが登記をした時の税金や手間、専門家報酬です。
任期を最大の10年にしておけば、10年に一度となりますが、任期を2年とすると10年に5回登記をすることになります。
そりゃ、皆さんこぞって10年にしますよね。
役員の続投の登記が10年に1度で済むのがこの任期期間の最大のメリットと言えます。
では、この10年任期、メリットだらけというわけでもないんです。
<デメリットその1 イヤでも10年は取締役としている>
これは書いたままです。
最初は良いと思ったけど、
・実は途中で喧嘩をしてしまった。
・途中で辞めてほしい気持ちが強くなった。
なんてこと、起きないとは限りませんよね。
都合よく辞任してくれればよいですが、そうでなければ10年経つまで基本的には取締役です。(解任決議をした場合は除く)
※自分一人しかいない会社ならこの問題は考えなくていいと思います。
<デメリットその2 法改正に対応できない場合も>
これは直接的なデメリットではありませんが、10年経てば法律も改正が入るのが通常です。
10年何の登記もしないでいるということは、ヘタすれば定款も10年前のままなんてこともあったりします。
※会社を設立した時の原始定款(設立時の定款)のまま何も変わっておらず現在改正法に対応できていない定款であったり、実はその他の登記と同時に定款の記載を変更しなければならなかったがやっていなかったりするケースも💦
例:現行定款を見せてほしいと言われたが、かなり昔の定款しかないので大急ぎで対応しなければいけなくなった 等
何かの形でも定期的に専門家の意見を聞ける環境があるならデメリットとも言えない場合もありますが、通常は定期的な役員変更の際に法改正に則した定款の見直しやアドバイスなどを受けたりすることが多いと言われています。(その他登記事項の変更登記をしている場合は除きます。)
<デメリット3 会社存続の危機?みなし解散制度>
これはよくあるお話だと思います。
「役員の再選と登記を忘れていたため、自動的に会社が解散状態(みなし解散制度)になってしまった」という事例です。
10年に1度の事ですから、ついうっかりなんてことも往々にしてある話です。
この状態になると最悪、会社そのものが消滅してしまって取り返しがつかなくなることもありますので注意が必要です。
※みなし解散制度についてのブログはこちら
→「会社が自動的に解散になる?令和6年度休眠会社等のみなし解散について」
【それでは結局のところ任期は何年がいいの?】
あくまで個人的な意見ですが、任期は5年+α程度がちょうどいいと感じることが多いです。
やはり数年単位で法改正に対応できるメリットとさほど再任などの登記申請をしなくていいメリット、上記で記載したデメリットを考慮するとこの期間かなと思います。
会社経営者の意見を踏まえた改正も日々行われておりますので、「その改正、もっと早く知りたかった」「改正対応をもっと前からしておけばよかった」とならないためにも、です。
※最近の改正「会社代表者住所の非表示措置」の参考ブログはこちら
→「会社代表者の住所について。希望者は非公開にすることができるようになります。」
この任期に関しては会社の状況によって適切な期間が決まると思いますが、一人会社や家族が役員になるような場合は役員の任期は10年でかまわないと考えます。
ただし、法改正には対応できる環境作りがあるとなおよしかと思います。
さぁ、いかがだったでしょうか。
たしかに、極力、登記の手間や支払う報酬・税金などはないほうがいいと思います。
ただし、最大任期にしてしまうデメリットも確かに存在します。
会社の状況によっては、最大任期でも問題ないケース・やや短めの任期が適しているケースなど様々なパターンがあると思いますので、このブログが何かの参考になったら幸いです。
今日はこんなところで。