自筆証書遺言の落とし穴?よくある不備をまとめてみました。
最近どんどん気温も暖かくなり、桜も満開から少し経って、私の事務所(千葉県佐倉市)の近くでは葉桜が目立つようになってきました🌸
もう少し経つと梅雨・夏ですね。
と、前置きはこれくらいにして、
今日は自筆証書遺言作成時についやってしまいがちなミス等についてお話したいと思います。
ちなみに本日4月15日は「遺言の日」だそうです。(4月15日「よい い ごん」)
※法律用語では遺言(いごん)と呼称することが多いです。
※遺言書についてはこちらのブログもご参照ください。
「やはり遺言書は作るべき?遺言書は本当に相続の対策になるのか?」
以下、あくまで例ではありますが、これをしてしまうと自筆証書遺言そのものが無効になったり、その後の手続きで使用できなかったりするので、もしご自身で作成される時の何かの参考になれば幸いです。
危険度「大」 ~これをすると致命傷💦~
①遺言書本文を自署していない
これはすでに「自筆」でないのでマズいです。※財産目録は自署の必要がない場合があります。
②作成日付を書いていない
ちなみに、「年月日吉日」も不可です。
③配偶者など他人と連名で作成している
共同遺言は禁止されています。
④氏名の書き忘れ
当然ですが、遺言者が分からないものは無効です。
⑤意思能力がなかった場合
認知症等の判断能力がない場合などが想定されます。
⑥偽造により作成された場合
当然、無効です。もし、偽造にかかわった相続人いた場合は相続人の資格を失います。
危険度「中~大」 ~微妙なケース~
①訂正の仕方が間違っている
自筆証書遺言では訂正の仕方も決められています。あからさまな誤記ならそのまま通る場合もあるとのことですが、もしそうでなければ訂正はなかったものと扱われ、万が一訂正前の文字が判別できない場合はその条項そのものが無効となるケースもあるようです。
②内容が不明確な場合
内容がめちゃくちゃである場合は危険度が上がります。ですが、実務上は有効解釈をすることが多いようです。
例:〇〇は長男の△△にお願いします。 ※本来的には「〇〇は長男の△△に相続させる」
③相続財産漏れ、又は財産の特定不備
本来書くべき相続財産を漏らしてしまうと当然その後の手続きで使用することが難しくなります。また、財産の特定の仕方によっても同様に手続きで使用することが難しくなる場合もあります。
例1:「自宅」を△△に相続させる。※本当は土地と建物があり、正確な所在地等による特定がのぞましい。
例2:銀行の口座を△△に相続させる。 ※可能なら銀行名・支店名・口座番号で特定するのがのぞましい。
さぁ、いかがだったでしょうか。
実はここに書いたものの他にも細かい取り決めがあるのが遺言というものです。
さらに、きちんと形式面の不備なく作成したとしても、上記⑤の意思能力が問題となり、亡くなってから遺言の有効無効を決める裁判に発展するケースもあるようです。
例:相続財産が少ない(又は無い)相続人から、遺言者が書いた遺言が無効であるとの訴えがあるケース 等
※万が一上記のような心配のある方は「公正証書遺言」の作成をオススメいたします。
思ったより作成において決まり事が多い遺言書。
最後の意思を正確に反映させ、その意思に沿った承継を確実に行うためにも、不備なく遺言書を作成したいですね。
参考→遺言書関連のブログのまとめはこちらから
今日はこんなところで。