相続登記に必要な印鑑証明書が用意できない!海外在住の相続人にしてもらうサイン証明について。
今日は、相続登記に必要な印鑑証明書に関するお話をしようと思います。
通常、複数の相続人がいるときに法定相続割合以外で遺産を分配する場合は、相続人全員で「遺産分割協議」をして、その協議内容を遺産分割協議書として作成・保存し、必要な機関に提出することが多いと思います。
そして、提出の際には、その遺産分割協議書には各相続人が実印を押し、印鑑証明書を添付することを求められることがほとんどだと思います。
印鑑証明書は各市区町村の窓口で取得できるのですが、ここで一つ問題が。
相続人の中に海外に居住されている方が含まれている場合です。
日本に住所を有する方であれば印鑑登録ができ、それに係わる印鑑証明書を取得することができます。
ですが、海外に住んでいて日本に住所を有しない方は印鑑登録ができないので当然印鑑証明書を取得することができません。
また、海外には当然印鑑文化のない国もたくさんありますので、そもそも印鑑なんてもってないよ、という事態も容易に想像できます。
さぁ、これは、困った・・・ということになります💦
提出先から印鑑証明書を要求されているのに、事情により印鑑証明書が取得できない。
ですが、この取得のために、海外から日本へ帰国し住所を構えるというのは現実的ではないですよね。
そこで、登場するのが「署名証明(以下、サイン証明)」というものです。
あまり、聞きなれないかもしれませんが、ざっと説明すると。
海外居住地を管轄する日本の総領事館に出向き、その面前にてサインをしてその証明をもらうことで印鑑証明書の代わりとする手続きです。
このサイン証明をもらえれば、印鑑証明書が取得できなくても法務局で要望の登記を受け付けてもらえます。(その他機関に関しては独自のルールがある可能性があるので今回は登記にスポットを当てます)
そして、このサイン証明には「単独型」と言われるものと「貼付型」と言われるものの2種類のものがあり、どちらもその有効性には差はありません。
※単独型は紙一枚で証明される証明書で、紙に署名者がサインし、それを総領事等が本人のサインで間違いない旨の証明をしたもの。
貼付型は何かの書類(遺産分割協議書等)に証明書が合わさったもので、署名者がサインした当該書類に「この書類にサインしたのは〇〇本人がしたものである」という証明をするものです。(わかりにくい説明ですみません💦)
ちなみに、私の事務所では、可能な限り「貼付型」を推奨しております。
以上のように、もし、相続人の中に海外居住者がいて印鑑証明書の取得が難しい場合でも、印鑑証明書が取れないから相続手続きができないということはありません。
ただ、普段やりなれない手続きであることは確かなので、何かご不明な点がありましたら、お近くの専門家に相談するのがよいかと存じます。
今日はこんなところで。