抵当権抹消など、登記は自分できますか?などなど。(ちょっと辛口)
今日は、ご質問でよくある「登記は自分でできますか?」について少しリアルに、少し辛口でお話しようと思います。
結論から言えば、登記自体は本人申請が基本ですので、すべての登記はご自身でしていただけます。
私たち司法書士は、あくまで本人申請の代理です。
が、言うは易く行うは難し、です💦
当然、少し調べれば自分でできるものから、調べても厳しいものまで多種多様です。
何より、費用対効果を考えた時に、結果安いのか高いのかという問題がでてきます。
では、個人的に自身でもできそうという意見の多い「抵当権抹消」にスポットを当ててお話していきます。
「抵当権抹消」について
この登記自体はそこまで難しい登記でないことが多いです。
具体的には、ローンを返済し終えた金融機関から書類をもらい、その書類を使って申請します。
ほとんどの場合、金融機関からの書類は全て記入済みであることが多く、後は自分で申請書の雛型を調べてそこに抵当権抹消の原因や申請者を落とし込んでいけば、ある程度の完成を見ることができるでしょう。
が、中には不動産の表示が記入されていなかったりする場合も散見されますし、何より、前提としての住所変更登記や相続登記、金融機関の合併による抵当権移転登記の必要の有無までを完璧に調べ上げるのは無理があります。
また、登記原因が「弁済」なのか「解除」なのかの判断も知識がないと分からないことが多いです。
そして、当然、申請書類等にミスがあると法務局から補正の連絡があります。
一般の方が申請する場合、おそらくは書面による申請がほとんどだと思いますが、何か不備があれば高確率で申請した法務局まで出向き、補正や最悪取下げをしなければならなくなります。
これがすごく面倒です。
さて、仮に上記補正を込みで、登記完了までかかる時間や手間を独断と偏見で解説していきます。
①申請書と添付書類の準備にかかる時間
何せ初めてのことでしょうから、インターネットで申請書の雛型や各書類・提出先の法務局について調べるわけですが、おそらく全てを調べあげるるのに1~2時間以上かかるでしょう。(下手すれば説明が理解しづらく「説明の説明」が必要になったりしますし、法務局に予約の上質問をするとさらに時間がかかります💦)
※ここがたぶん、一番大変です。
②申請書の作成と添付書類の準備
記載する内容が決まったらその作成をするわけですが、これはパソコン等で雛型通りに申請書を作成したり、その他書面に追記したりとするだけですので、そこまで時間はかからないかもしれません。
ですが、金融機関からもらった書類には捨印がないのがほとんどなので、書き損じがあったりした場合、再度金融機関に連絡をしなければならなくなることもあります。
※私は手が震えて大変なことになりそうです(笑)
③法務局へ提出
提出する書類が完備したら、法務局へ提出にいきます。(これは郵送でも可能です)
法務局は平日しか開庁してませんので、普通にお勤めの方なら有給を取るか、平日休みに出向くことになります。
本当に近所に法務局がある場合を除き、遠方であれば下手すれば午前中いっぱいかかることもあるかもしれません。
(提出自体は窓口にて一瞬で完了します)
※法務局は駅から遠方にあることが多いので、夏場が厳しかった思い出が多いです(笑) 大都市以外の法務局なら車がいいかも。
④仮に補正があった場合
仮の話ですが、万が一補正があった場合、再度法務局へ出向き、補正をします。
また、取下げの場合は、取下げ書を提出し、再度上記①からやり直すことになります。
当然、また平日に行くことになります。
※これはできることなら避けたいシーンです。
⑤無事登記完了
登記が完了すると法務局から「登記完了証」というものが発行されますので、基本的にはこれを取りにいかなければなりません。還付書類がある場合は、この時に受領します。もし、登記完了後の登記簿謄本が必要な場合もこの時に取得すればよいでしょう。
※ここまできたなら一安心♪でも、また法務局行くのって正直面倒ですね(笑)
さぁ、以上が登記完了までの想像です。
そして、個人的な調べでは、抵当権抹消の司法書士の報酬相場は1万~2万程度です。(後は登録免許税や交通費などの実費が費用としてかかります。これはご自身で申請しても必ずかかります)
①~⑤を個人でこなすと、トータルで10時間~20時間(下手すればその数倍の時間、もしくは途中で断念)がかかってしまうのではないでしょうか。
本来、休めたり趣味にあてられる時間を数日に分け登記にあてて、浮いたお金は1~2万・・・
これはあまり費用対効果がよいとはいえません(泣
さらに言えば、決して自身のお金が増えているわけではないのです。
私も、以前、士業の報酬って高いなぁと思っていた時期がありました。
ですが、自分で開業してみると見えてきたものがあります。
士業へ依頼するということは、お金はかかるけど「面倒なことを全てまるっと投げられる」「自分の時間をお金で買うことに等しい」ということでした。
登記は本人申請が基本という考え方がありますが、本人でやりきれないことがほとんどだから私たちがいるのだと感じています。
かなり我田引水な記事になってしまいましたが、いち消費者兼士業の観点から見ても、専門家に依頼することは決してお金や時間の無駄ではないと思っております。
でも、本当に時間に余裕がある方や登記自体に興味がある方はご自身で登記申請するのも面白いと思います。
勉強になりますので、そのかけた時間や労力はすばらしい経験値となるはずです。
ご自身の現状とその動機によって、本人申請するか代理人に依頼するかを決めてもいいかもしれませんね!
長々と勝手なお話をしてしまい、大変失礼いたしました。
今日はこんなところで。