生前贈与か相続か。メリットもデメリットもあるので注意が必要です。
今日は生前贈与についてお話したいと思います。
生前の対策として生前贈与を検討している方もいらっしゃるかと思いますが、そのメリット・デメリットをについて書いて行こうと思います。
まず、大前提として、生前贈与を検討するなら、必ず税理士等の税金の専門家の意見を参考にするべきです。
司法書士だけではどうしてもカバーしきれない部分があるからです。
※今回のブログはあくまで一般的なお話としてご覧ください。
それでは、生前贈与のメリットから・・・
メリット
①他人の関与なく、贈与者と受贈者のみの契約で自由なタイミングでかつ割と簡単に行える。
おそらくこれが一番のメリットではないでしょうか。
相続による承継は、他の相続人との話し合いが前提になる場合も多く、遺言書による承継はその他の手続きや費用がかかる場合があります。
②親の家屋のリフォーム資金を子供が提供する場合に、みなし贈与にならない。
高齢の両親のために子供がリフォーム代を出す時に、贈与とみなされるのを回避するために利用される方も多いと聞きます。(※詳しくは上記記載のとおり、専門家への相談をオススメします)
③相続税対策・認知症対策としても
先に贈与しておけば相続税対策としても効果を発揮する場合があります。(ただし、現行では3年内の贈与は相続税算定の基礎に組み込まれる制度「生前贈与加算」があるそうです。のちにその期間が延長される話も出ています。)
また所有者が認知症になった時の対策として、先に子供に物件の所有権を移す方もいます。(いざ、何かの契約をする時に所有者が認知症だと契約できませんからね💦)
では、次にデメリットを・・・
デメリット
①贈与税がかかる
さぁ、やってきました。生前贈与の一番のネック、贈与税です。とにかく高い。しかし、いろいろと特例措置がある場合もありますし、相続時精算課税制度の利用を検討する場合もあります。ここも税理士等の専門家に相談し、実際にいくらかかるのかを把握することが肝要です。
また不動産取得税もかかる場合があります。
②遺留分の問題
メリットの①に書いたとおり贈与者と受贈者だけで契約できるのですが、他の相続人から相続時に遺留分を請求される可能性があります。その他の相続財産を加味しつつ、贈与するか決定すべきと言えます。
③移転の登録免許税が高い
やっと司法書士としてそれらしい記述ができます(笑)贈与の場合の登録免許税は不動産の固定資産評価額の20/1000となります。(例:評価額1,000万の不動産なら金20万円の登録免許税がかかります)
ちなみに相続での登録免許税は固定資産評価額の4/1000なので5倍も違いますね。
さて、いろいろと書きましたが、生前贈与にはそれなりのデメリットも含んでしますケースがあるようです。
認知症対策として家族信託を利用するのも一つの手ですし、急ぎでなく家族間の関係が良好な場合は相続が発生してから話し合いの場を設けるのも手だと思います。
何よりかかる税金の額が段違いですので。
そして、何度も言うように、生前贈与にまつわる税関係では税理士等の専門家の判断を仰ぐのが大事だと感じます。
何も考えずに、安易に登記だけしてしまい、後で高額な税金を払うことになりかねません。
最後になりますが、生前贈与はことのほかそのメリット・デメリットが極端に分かれる法律行為だと思いますので、たとえ相談料がかかったとしても、各種専門家を交えてその必要性(代替案なども)を十分に考えるのが一番だと感じます。
今日はこんなところで。