新しい財産管理対策としての家族信託。そのメリット・デメリットについて。

GWも明け、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
次回の祝日は7月となりますが、引き続き頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回は最近よく聞く、家族信託について軽くですがお話させていただきたいと思います。

 

そもそも信託とは?
その名の通り、財産を他人に信じて託す行為です。
具体的には、持っている財産の運用を自分以外の誰かに託し、その利益を享受するシステムです。
主に、認知症による財産管理の制限回避のためだったり、生前にできる相続対策としての手法として利用されます。

それでは家族信託とは何でしょうか?
従来、信託業法の免許を受けた銀行・信託会社しか認められていなかった信託行為(商事信託)が、信託法改正により一般の方でも活用できるようになりました。(これを民事信託と言います)
その中でも、より信頼できる家族に信託することを家族信託と呼びます。

メリットとしては、上記のように「認知症対策」や「財産管理」を第三者でなく家族に託すことができる点。
とりわけ、その財産の処分に関して家庭裁判所等の監督を介する必要がなく、成年後見制度等利用による報酬の発生を抑えることができる点があげられます。

デメリットとしては、税務上において、場合により不動産などの損益通算ができなくなる点やローン付物件の債務控除が受けられなくなるケースがある点があげられます。(こちらは事案により結果が変わるので税理士などの専門家への相談を推奨します。)
また、信託契約自体は財産を持っている方(多いのは高齢の親)とそれを託される方(同居の親族など)のみで契約できてしまうので、遠方にお住まいの他の親族が契約自体を知らなかったことから、のちにトラブルに発展してしまうケースも稀にあるそうです。(遺留分侵害や契約自体の有効無効など)

それではどうしたらいいのでしょうか?

私見としましては、ご家族全員(特に将来相続人になり得る方々)での情報共有をしたうえで、信託行為そのものの必要性を専門家を交えながらじっくりと精査し、メリットデメリットをきちんと理解して家族信託をするかどうかを決定するのが一番だと考えます。


便利な制度である信託行為も万能ではありません。
家族信託を利用するにしても、必要に応じて成年後見制度等の併用も視野に、その都度ベストな選択をしていくことが大切だと感じます。

~余談的司法書士の独り言~
家族信託はその事案の難易度により費用等が高額になりやすいです💦なので、くり返しますが十分考えた上で、制度を利用するか決めることをオススメします。

今日はこんなところで。